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2023-09-19 お知らせ

検査科学科1年次生5名が杉野ハンセン病資料館を訪問しました

杉野ハンセン病資料館の見学と講演会

 2023年9月12日(火)に、検査科学科1年次生5名と教員2名が、福岡県小竹町にある杉野ハンセン病資料館を訪問しました。この研修会は福岡県藤楓協会の方々により企画され、医療系大学の学生を対象としたものです。研修会では、開設者である高石伸人先生のご講演をお聴きし、資料館の展示物の見学を行い、とても有意義な時間を持つことができました。
 ハンセン病とは、らい菌(学名:Mycobacterium leprae)によって引き起こされる感染症の一つです。治療法が確立していない時代には、手足が麻痺して、熱い、冷たいなどの感覚がなくなるなどの症状、また、体や顔が変形するといった後遺症が残る病気でした。らい菌は飛沫(くしゃみや咳)によってヒトからヒトへと感染しますが、その感染力は極めて弱く、健常成人に感染が成立することはほとんどないと考えられています。しかしながら、らい菌に関する正しい知識が広まらなかった当時は、誤った情報が横行した結果、らい予防に関する法律が公布され、らい患者の隔離政策に発展しました。
 高石先生は元患者さんたちの体験談をもとに、ハンセン病の真実を語って下さいました。生涯を療養所で暮らし、死後も故郷の墓には埋葬されない。結婚しても出産ができず、男性は断種(生殖能力を失わせる手術)、女性が妊娠すると中絶を強いられる。家族にまで差別が及ぶので、自身の実名を名乗れない。偏見と人権侵害、不当な差別に苦しめられた入所者の方々の心情は、察するに余りあるものでした。プロミンと呼ばれる化学療法剤が開発されてから、確実に治癒できるようになりましたが、それでも差別は無くならず、2001年に国賠訴訟で国の隔離政策は違憲の判決が出ても尚、差別は続いたとのことでした。当時の処遇に対して訴訟を起こした入所者の方々のほとんどが、この裁判でも実名を名乗っていないことを初めて知りました。
 一人でも多くの方にハンセン病の事実を知って欲しいとの高石先生のお言葉を拝聴して、ハンセン病を風化するのではなく、語り継ぐことによって、人権が尊重される社会を目指していかなければならないと感じました。
 
 このような貴重な機会を賜り、深く御礼申し上げます。コロナの影響で縮小した規模の研修会でしたが、次回は入所者の方々が暮らしている「菊池恵楓園(熊本県)」への訪問を計画しているとのことでしたので、より一層、理解を深められると思います。
 
 
  • 高石先生の講演を真剣に聞いている1年次生
  • 資料館での写真や展示物の見学
 
  • 療養所の周りは高い塀や深い堀に囲まれており、脱出は困難を極めた。規則を違反した場合は、療養所内にある専用の刑務所に収監された。国立療養所栗生楽泉園には重監房があり、特に反抗的な患者を収監して重い罰を与えた。日本のアウシュヴィッツと呼ばれた。
     
  • 逃亡防止のため、現金は強制保管され、代わりに療養所専用の園券が渡された。
     

 

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